那須町で和瓦屋根の各所の棟を積み直す工事をご依頼頂きました。
積み直し工事は既存の棟瓦を再利用し、耐震・耐風工法にて再施工していきます。
解体前の隅棟の様子です。
地震の影響でしょうか?
のし瓦がと素丸瓦に隙間ができ、漆喰がひび割れ、中の土台粘土が流れ出てきてしまっていました。
棟内部に雨水が侵入しおり、棟の土台部分から植物が自生している状況でした。
まずはこちらの化粧棟の解体から取り掛かります。
化粧棟とは名前の通り、飾りの意味合いが強く、屋根の構成上ではなくても支障のない部位です。
ただ、この化粧棟があるなしで和瓦屋根の迫力に違いが出てきます。
お客様のご意向により、解体した際には復旧をご希望されない場合もあります。
今回は化粧棟を復旧していきます。
化粧棟を施工する下の平瓦を雪止め瓦に替え、ステンレス釘で念入りに野地に緊結します。
そこへ束にした銅線をくくりつけていきます。
次に化粧棟の土台を南蛮漆喰で形成していきます。
形成した土台の上に熨斗瓦(のしがわら)を南蛮漆喰に馴染ませながら積んでいきます。
その際、被覆処理鉄筋(以後、被覆鉄筋)を先程仕込んでおいた銅線で、被覆鉄筋を緊結します。
この被覆鉄筋へ全ての熨斗瓦を、やはり銅線で緊結していきます。(耐風・耐震工法)
今度は部位が瓦って、箕の甲丸という棟を解体してきます。
箕の甲丸とは屋根袖部分が箕の傘を模した様に変形した部分に付随する棟となります。
既存の5寸紐丸という冠瓦を解体し、土台の粘土と漆喰を撤去します。
次にこちらも棟下の平瓦を解体し、野地から棟瓦を緊結するための銅線を仕込んでいきます。
この際、箕の甲部分の瓦のズレが確認できたので、ステンレス釘にて緊結し、以前より安定した状態となるよう手を加えました。
仕込んだ銅線の上に南蛮漆喰で土台を形成していきます。
形成した土台の上に5寸紐丸を南蛮漆喰に馴染ませながら積んでいきます。
その際、先程仕込んでおいた銅線で被覆鉄筋を緊結します。(耐風・耐震工法)
最後に隅棟と呼ばれる部位の積み直しに着手します。
こちらもまず既存の棟瓦を解体し棟下の勝手瓦を解体し、下葺きをあらわしにします。
勝手瓦とは屋根面同士の接合により、切断加工した平瓦を指します。
勝手瓦の調整後、屋根下地を支えている棟木に、等間隔で鋼製の耐震杭を打ち込んでいきます。
更にその耐震杭に被覆鉄筋を銅線で緊結します。
この被覆鉄筋に銅線を用いて、棟瓦(熨斗瓦と丸瓦)を全て緊結していきます。(耐震・耐風工法)
この工法で工事をすることにより、加速度が加わらない速さ(1G)で360°ぐるりと回転させても棟が崩壊しない強度を持つことが可能になります。
すべての工事が完了した様子です。
今後お客様におかれては、大規模な地震や台風が来ても、安心してお過ごし頂けるのものと確信します。
耐震・耐風工法について詳しい情報をお求めの方、是非、弊社「やねうち」までご連絡ください!